社会福祉援助技術実習報告会 開催

12月16日(水)人間福祉学科で、「社会福祉援助技術実習報告会」を開催いたしました。
次年度に実習を迎える2年次生に向けて、今年度の実習を終えた3年次生が、自分自身の経験を通して感じたこと、考えたことを発表しました。

実習先はそれぞれ違いますが、すべてに共通していることは、たとえ実習生という立場でも「人間力」の豊かさを身につけていなければ、現場では通用しないということです。

実習先に身をおいて、はじめてわかったこと、おどろいたこと、疑問だったこと。それらのすべてが、机の上の学習だけでは決して得られなかった貴重な体験になっていることが、発表者から伝わってきました。

人間福祉学科の3年次生は、8月に約1か月間、現場実習を体験します。

これまで人間福祉学科で学んできた専門の知識を本当の意味で「理解」し、自分にできることを現場で考えて行動できる力を身につけることを目的としています。 現場での体験を積み重ねながら、ディスカッションやケーススタディを行うことによって、さまざまなフィールドで活躍できる実戦力を身につけます。

今年度は、高齢福祉分野、障害福祉分野、児童福祉分野、社会福祉協議会分野、病院分野で実習した6名が、自分が決めた課題のなかで実習期間に達成できたこと・できなかったこと、今後の課題や実習を通して感じたり学んだりしたことを、現場での事例を交えながら来年実習予定の2年次生にアドバイスをしました。

実習先 特別養護老人ホーム

様々な職種を経験してこられた職員の方がおっしゃった言葉に感銘を受けました。

「いろいろと大変なこともあるが、これほど相手から感謝され、「ありがとう」と言われる仕事は他にはない」

この実習を体験して、他の分野の業務についてもさらに興味を抱きました。

実習先 障害者支援施設

コミュニケーション技法について、言葉だけでなく色々な形でどのようにしたら相手に一番良い形で伝わるのか、そしてどうしたらそれができるのかという「学び」「考える」ことができました。

プライバシーが守られていないように感じる生活空間や、鍵付きのスペースにも違和感を覚えました。「もっと良い方法があるのでは」と考えさせられました。

実習先 児童養護施設

最初は乱暴な子どもたちの言動に気をとられていましたが、 「その乱暴な言動の気持ちの裏を考えて」と言われ、注意深く観察してみると、恥ずかしさを隠したり、気を引かせるための行動だということに気づきました。

子どもの気持ちを考え、そして理解して日々接している職員の方の姿に感銘を受けました。

虐待を受けた子どもたちも、社会が勝手に思っているような暗いイメージはなく、明るい笑顔で遊んでいました。

実習先 市町村社会福祉協議会

訪問介護に同行させてもらった際、職員の方が「どの家に訪問しても、全ての利用者さんに学ばされることがある」と言っておられたこと、そして通所介護に来られている少し認知症のある利用者さんが、ゲームの時にお互いの得意なことで助け合っている様子に感銘を受け、高齢者の方を「守ってあげるべき弱い存在」と捉えがちだった自分の考えを改めさせられました。

デイサービスの利用者の方にお話を伺ってみると、家では人と話す機会の少ない生活を送っておられる方が多く、デイサービスで見せるお元気で活発な姿とのギャップに驚きました。

実習先 病院

限られている人数の中での、スタッフ同士の協力する姿に感銘を受けました。医療ソーシャルワーカーは、患者さんがどんな疾病を持っているのか理解しておく必要があり、福祉分野だけでなく、医療分野にも精通しておかなければならないことを痛感しました。難しいけれども、それだけやりがいのある職業であると再認識しました。

患者様に対するソーシャルワーカーの声かけの難しさを“疑問点”として、日誌に書いた結果、担当の方に共感してもらえました。思ったことを伝えることができて、良かったと思いました。

実習を通して、人としてのマナーや相手への気配り・思いやりなどの心についても成長できたと感じます。

報告会に参加して 2年次生の感想

クリックで拡大します
感想1 感想2
取材後記

高校卒業後の進路選択の時期を迎え、
将来、やりたい仕事が見つけられずにいる高校生と保護者の皆様へ

今回の社会福祉実習報告会を見学して一番強く感じたことは、現場での実践を経験してきた3年次生は、2年次生よりも、ひとまわり大きく、頼もしく見えました。大切なことを学び、真剣に考える機会を持った経験が、これからの人生の大きな糧になっていくだろうと思います。 将来、どんな職業に就くとしても、社会人の基礎として最低求められるのが、「人とのコミニュケーション能力」です。人間福祉学科の基本学習内容は、専門的な知識の体得はもちろんのこと、その根本になくてはならない「相手を深く理解するための考え方」や「自分の気持ちを伝えようとする姿勢」や「人を大切に思う気持ち」を育んでいきます。これらの能力を身につけると、おそらくどんな職場においても、どんな場面においても「ひとりの人」としての魅力を発揮できるのではないかと感じました。